NANA色の風~九州から(管理人のひとりごと)

全肥商連九州のホームページ管理人が、日々徒然なるままに感じたことを書いています。掲示板の閉鎖に伴い、そのタイトル「NANA色の風~九州から」をこちらで使用することにしました。

2013年04月

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 農水省は23日、政府の産業競争力会議で、担い手への農地集積や耕作放棄地の発生防止に向けて、都道府県単位の「農地中間管理機構(仮称)」の設置を提案したそうです。

 日本経済新聞(4/24)の『耕作放棄地を強制集約~都道府県、全農地の1割再生~政府・自民方針』という記事です。

 全国で40万(滋賀県に匹敵)とも云われている耕作放棄地を、この「農地中間管理機構」(仮称)が個人から強制的に借り受け、周辺農家にも働きかけ、借り手がつくよう農地の集約も進めるそうです。

 管理機構は用水路、排水路も整備し、規模拡大をめざす農業生産法人などにまとめて転貸するので、借りる側も個別に農家と交渉する必要がなくなります。

http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=20549

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 中日新聞(4/14)の社説『攻めの農業と言う前に』は、次のように書いています。

 TPPという名の黒船は、こと農業に関して言えば、成長至上主義の終焉を告げに来たのかもしれません。

 作り手は規格にあった品物を効率良く育てて淡々と送り出す。買い手の側は値段の安さをひたすら求め、消費する。その繰り返しでは農業の持続可能性が、もう保てないということを。

 農産物の生産だけでなく、環境、防災、水循環、エネルギーなどを含めた持続可能性を、農家も消費者も考え直す時だと。

 マイナスを補償しプラスを応援するからTPPを……という前に、「日本農業の身の丈」を考えてみようという記事でした。

 TPPと農業について考えるときの出発点、私もここからだと思いました。

 記事には、間もなく地元で就農する愛知県の北村真也さん、そして彼が研修に通う同県の佐々木正さんの農園が紹介されていますが、彼らが教えてくれるのは、「農業で食べていく」のに必要なのは「攻めの農業」ではなく、「身の丈」に合った農業経営をすることだということでした。

 就農を煽るだけの農業ブームに踊らされず、「身の丈」を踏まえた農業者が増えていくことを願ってやみません。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2013041402000097.html

http://1st.geocities.jp/zenpi_kyusyu/_gl_images_/diamond.jpg
 ダイヤモンド誌は「TPP賛成、日本の農家は輸出産業になって大成功」という立場でTPPや規制緩和のまぶしく明るい部分ばかりを紹介している……とは、Business Journal(4/14)の『「石垣牛」「アグー豚」ブランドを独占するJAの闇~日本の農業を阻害?』という記事の一節です。

 『実は強いぞ! 日本の農業』という特集を組んだ週刊ダイヤモンド(4/13)を紹介しているのですが、年に数回は出る同誌の農業特集号、確かに冒頭の姿勢で一貫しているようです。

 例えば企業の農業参入、鳴り物入りで参入した大手=オムロン、ファーストリテイリング、JT等々、実は撤退した企業も少なくないのが現実です。「生産した農産物をいかに確実に高く売ることができるかという“出口戦略”」こそが、その成功と失敗の分かれ目だと書いてありました。

 TPP参加反対の急先鋒であるJAは当然批判の対象で、琉球在来種の黒豚「アグー豚」に関してJAおきなわが96年に「あぐー」の商標権を取得し、本来のアグー豚を生産する農家が「アグー」を名乗れない状態になっている等々の記事を載せています。

 自民党農林族議員、農水省との3者で「農政トライアングル」を形成してきたJAはいまや、農家をしばりつけるだけの存在になりつつあるとして、専門家の「JAはすでに非農業者である准組合員が正会員数を上回っており、地域の人々に対し、小売り、冠婚葬祭事業など生活関連事業を行う団体になっている」「信用・共済事業も含めた地域協同組合」と「専業農家のみが組合員となる専門農協」に二分すべきだとの指摘を紹介しています。

 ダイヤモンド誌の農業特集号は元気な日本農業をアピールしてくれるということで購入し、来店されるお客さんの目に留まるような処に置いていたりしていましたが、TPPに関しては確かに少し能天気過ぎるような気がします。

 http://biz-journal.jp/2013/04/post_1901.html

http://1st.geocities.jp/zenpi_kyusyu/_gl_images_/chara_01_img.jpg
共同通信(4/10)によると、自民党は夏の参院選公約に次のような農業強化策を盛り込むそうです。

○ 農家の所得を現在より5割増やし、集落営農など大規模な耕作農地を全体の8割に。

○ 飼料用を中心にコメの生産を拡大し、減反を解消。

※ 畜産、酪農分野の対策や戸別所得補償制度の見直しも検討中。

"農家所得の5割増"……、農業票の離反を食い止める為にまずは掛け声だけでも、という感じでナンカ浮いているような気がするのですがどうでしょうか。

http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013040901002473.html

 ※ 上の絵は、自民党が企画した「安倍総裁・石破幹事長のキャラクター・イラスト募集」の最優秀賞受賞作品です。

http://1st.geocities.jp/zenpi_kyusyu/_gl_images_/ishiba_nishikawa.jpg
 産経新聞(4/7)の『TPP、転換探る農家~生活保護のような補助金の時代終わった』という記事に自民党農林族でTPP対策委員長を務める西川公也氏と石破茂幹事長の話が載っていて、面白く読みました。

 平成21年冬、当時農水相だった石破氏は『選択減反制』を提唱し、全国一律減反・保護一辺倒の農政から補助金なしでも戦えるコメ農家の背中を押そうとしていました。その石破氏に対し、西川氏は面と向かって「農家の所得に責任を持てるのか」と批判したそうです。

 その背景には、"農協の支持を受けた族議員が米価維持に奔走し、見返りに農民票をもらうという「農政のトライアングル」"があったとも書いてあります。最終的に選択制は「農水省案」から単なる「石破案」となり、断念に追い込まれました。 

 今、西川氏は「われわれの取った行動は合っていたのか。(中略)これまでの農政に間違いがあったのではないか」と自問するそうです。

 そして、今年3月28日、西川氏は党の農林族との幹部会合で「お腹立ちの方もいるでしょうが」と切り出し、「縮小生産に向かった40年前は正しかったのか。この際改革しましょう」と、減反を全てやめた場合の米価の予測や、減反を廃止した場合に必要な補助金額などを計算する方針を明言したそうです。

 それを聞いた石破氏は「実は減反をやめた場合のシミュレーションがある」と切り出し、自民党が衆院選で大敗した21年夏、選挙から民主党に政権を明け渡すまでの16日間に書き上げた数パターンの想定書を後継となった赤松広隆氏に手渡していたことを明かしたそうです。

 TPP交渉参加を機に農業政策の改革、石破氏は「どの農民層を守るのかという議論を突き詰めると選挙の票は減ってしまう。ただ、小農家が農機具の投資なく地代を手に入れ、農地を集める大農家のコストダウンを図れれば、票は本当に減るだろうか」と語ったそうです。

 記事には他にも、新潟県で農業生産法人を経営する南雲信幸氏や玉木修氏の話も載っています。

 しかし、石破氏のいう「票」とは一体どの票のことでしょうか。農協の票でしょうか、農家の票でしょうか、それとも日本の農業を真剣に考えている人達の票のことでしょうか。あるいは、財界の…。

 平成21年当時、農協の票に踊った農林族が間違っていたことは明らかです。間違いは二度と繰り返さないでほしいものだと思いました。
 
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130407/biz13040708310002-n1.htm

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